インドの虎狩り

何をどうすればよいのか、皆目分からなかった7月に比べ、全くできないことには変わらないが「どうしたい」という目当てがあるだけ俄然練習が楽しい。
ああ、早く仕事よ終われ。そしたら練習できるから。
毎日出勤するのが楽しみでしかたない。いや、仕事が楽しみなのではなく、仕事の後の練習が待ち遠しいのであり、仕事はそのおまけいえ、本分です。
きらきら星から、フランス民謡、ちょうちょう、こぎつね、むすんでひらいて、と進む。3の指を押さえたままができなくても「来週教えてもらえば良い」、こぎつねの1を押さえたままができなくても「来週教えてもらえば良い」、ああ、楽しみ。
季節外れのあまり馴染みのない「クリスマスの歌」をやって、かすみか雲かを気分だけは大いに盛り上がって弾く。
すると、ノックが。
ヤバイ!音がうるさすぎて残業中の誰かが文句言いに来た!
と思ったら、音楽好きの同僚が目を丸くして立っていた。
同 僚:「チェロの音がするから、何事かと思ったら、ナランさん、チェロ弾くんですか!」
ナラン:「はい、ついに始めちゃいました」「だいぶ音漏れますか?」
同 僚:「いいえ、階段のところまで来て気付きました。上の部屋にいたら分かりませんね」
ナラン:「おぞましい音なので、聞こえるとまずいんです」
同 僚:「セロ弾きのゴーシュインドの虎狩りじゃあるまいし、それに、バイオリンほどひどくはならないし、大丈夫。お邪魔様」
自身はプロ並みのピアノ弾き、お子さん二人は音大に行ってもおかしくないほどのバイオリン弾きさんに見つかってしまった。まあ、こっそりやるには無理のある楽器ではあるが。音もずうたいも大きいので…。
不覚にもセロ弾きのゴーシュのお話を知らない。インドの虎狩りとは???これは暇を見つけて図書館で借りてこなければ…