ついに来たその日

待ちに待った木曜日
チェロを担いでドアの前に立つ。まだ前のレッスンが終わっていないようでしばし待つ。
トイレに行きたくなって、扉の前にチェロを置いてトイレへ。
戻ってきたら、もう前のレッスンが終わっていて先生がチェロをレッスン室に運びこんでチューニングして下さっている。
先 生:「よく鳴りますね」
ナラン:「借りものなんです。持ち主は音大に合格して、練習用のチェロが不要になったらしいんです。それを譲り受けた人から借りてます」
楽器の良しあしなどはさっぱりわからないが、悪くないらしい。ちなみにこの楽器は「Oriente」という工房の廉価版らしい。ネットで調べてみたら、17万円くらいということがわかっている。赤味が強く、あまり光沢がない。赤銅色のたくましいヤツである。
構え方、弓の持ち方を教わる。
なるほど、弓は弦と接していることによって支えられているのか。だからあの「つまみ」方でも持てるんだ。
ちょっとしたことでも教わると良く分かる。
さっそく音を出してみる。弓の角度や、鏡でのチェックの仕方などを教わる。
なるほど、水平という感覚がいかに危ういものなのかよくわかる。水平に動かしているつもりでも、つい体の楽な方に動かしてしまうものなのだ。だいたい支点が線ではなく点なのに、円運動ではなく、直線運動をする、というのがそもそも運動のメカにクスに反している。などと、妄想分析しながら教わる。
ザックリ教わったところで、さっそく曲に移る。どうやらじっくり基礎トレーニングを重ねてテクニックを身につけさせるタイプではなく、実践(曲)を通して必要なテクニックを身につけさせるタイプの教え方らしい。
基礎、基本、繰り返しのトレーニング(訓練)は上達に必要だが、どんなにキャッチボールが上達しても野球ができるようにはならない。訓練が必要になったら、ちゃんと与えて下さるだろう。
喜んで、おぞましい音程を披露しながら曲にとりつく。
偶然にも先生の選んだ練習の本は SUZUKI CHELLO SCHOOL。きらきら星の変奏曲を順番にやっていく。
あっと言う間に30分のレッスンが終了。実際は45分くらい見て頂いたと思う。
ああ、楽しかった。
来週がまた楽しみ。