速くない

ククーロさんやいもち〜さんのところで、速さの話が出ている。ちょうどナランもそれでつまづいている。

確かに曲のイメージに合う速さがあって、その速さで弾きたい。タラララララララ、流れるように弾きたいのだ。でも我が右手も左手もそんな速さにはついていけない。

「ご主人さま、勘弁してくだせぇ」
泣きと詫びが入る。
「ええいこのうつけ者、もっと働かんかい、精をださんかい」
叱咤激励してみるがまったく効果なし。

「16分音符もたっぷり弾いて」「弓は少なく」「手首を柔らかく小さい動きで」と師匠。

わかるが。わかるが、できない。
仰っていることは理解できるが、いざ楽器に向かうと全部ぶっ飛んでしまう。典型的な初心者のリアクション。つまり、わかっていない。

何がわかっていないのか。

これまでの人生で「速さ」を求めるときは常に大きな筋肉を爆発的に使って末端を速く動かすことで解決してきた。速く走る、速い球を投げる、速いボールを打ち返す…。

ゆえに、腕全体さらに肩や背中まで動員して弓を速く動かそうと試みる。悲しいサガである。結果、運動が大きすぎて拍に間に合わず、弓を速く動かすから滑ってキーキー言い、右腕のダイナミックな動にシンクロして左手も力が入り、指は動きにくくなり、崩壊しグッタリとうな垂れることになる。

速いのではない、短いのだ。認識を変えないとイメージが変わらない。

「短い」、瞬間の動作、小さい動作、末端が得意なこと。

あれ、師匠が言っていることやん。16分音符で真っ黒なXX小節を速く弾くのではない、短い音がたくさんあるんだ。

あれ、書いてるうちになんか、できそうな気がしてきたぞ。よっしゃ、練習しようっと。