オーケストラ3

で、本番。なんと1000人以上も入る大ホール。見に行ったことはあるが、まさかここで演奏するような機会に恵まれようとは…。

しかし、大ホールにはいくつもの難関が待ち受けていた。

まず、いつもはスキスキの高速が事故渋滞で進まない。手前で降りてあとはナビ嬢の言うとおりに進んでなんとか時間に間に合う。

続いて、駐車場の入口がわからない。ようやくわかったら今度は楽屋への入り方がわからない。お客の時は正面玄関に行けばよいだけだったが、楽屋口なんて見たことない…。

ようやくガードマンさんに聞いて楽屋エリアに入ったら、今度は自分がどこに行けばよいのかわからない。第○楽屋ってどこ???フロアマップを見て右往左往。

ようやく正しい楽屋を見つけ入って着替え。目の前に着替え用のカーテンがあるのに目に入らず、部屋の奥でゴソゴソ。楽譜出して、楽器出して、着替えた服と靴をしまって…。無情にも時間はどんどん過ぎていく。ああ、早く譜面台をセットしに行かなくては。

そう、バンダはステージではなく2階客席で吹く。

で、どうやったら楽屋から2階に行けるかわからない。そうだ、ICタグをもらわなければいけないんだった。タグをもらっても通路がわからなければどうしようもない。あっちに行き、こっちに行き、ようやく掲示を見つけて扉にたどり着く。幸い出て行く人がいて突いて出る。と、そこはホワイエ。えっと、座席番号表を見てバンダエリアにたどり着く。

どうにか譜面台を立て、楽譜を整え、楽屋に戻り、楽器に息を入れる。「じゃ、そろそろ行きましょうか…」え〜っっっ!!! トイレに走る。エアコンがよく効いているからトイレが近い。

楽器をぶつけないように慌てて列に付いていく。「あなたは、こっちじゃないですよ!」と言われて初めて自分が1st、2ndの人たちの列にくっついていこうとしていることに気づく。トホホ…。

それでもなんでもどうにか座席に収まったら、後ろの方が「あの、楽譜の上下逆さまですよ」と教えてくれた。笑えるやら泣けるやら。情けないやら恥ずかしいやら。まあ、なんてベタなギャグ。教えてくださってホントにありがとうございました。

そうこうしているうちに開演5分前。お隣におばさまの二人連れが座られた。
「あら、ここで演奏するの」
「ホルンの音しか聞こえないわね」
はい、ここで演奏するんです。でもホルンしか演奏しない曲だから許して下さい。

キンチョー

あと、5分。いったいどうなるやら…